「民泊」最新事情～都営住宅で「隠れ民泊」。一方、インバウンド集客が加速するラブホ業界(2016年8月28日フジテレビ【新・報道2001】)

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2016年8月28日放送のフジテレビ【新・報道2001】で取り上げられた、インバウンド形態３つのケース

こんにちは、キム先生の旦那のぼくでんです。

2016年8月28日放送のフジテレビ【新・報道2001】では、「民泊」やインバウンド問題の実情がリポートされました。

番組で取り上げられたのは３つのケース。

①ラブホからシティホテルへの業態転換で成功した例（埼玉県）

②空き家を中国人が爆買いし、民泊ビジネスを展開している例（北海道小樽市）

③都営団地で行われている「ヤミ民泊」（東京都）

私なりの視点と切り口で論点整理していきます。

現在の日本、とりわけ東京が抱える宿泊施設の問題点

不足する東京の宿泊施設

オラガ総研の牧野知弘社長によると、「東京はいま、宿泊施設が全く足りない状態」と指摘する。

日本政府を先頭に、外国人観光客の拡大を推し進めてきた結果、

外国人観光客は2011年に620万人。

昨年2015年には1970万人。

4年間で3倍以上の急拡大だ。

この需要に追いついていないのが宿泊施設。

東京オリンピックが開催される2020年には、東京・大阪で４万室以上が不足するという試算もある（みずほ総合研究所調べ）。

宿泊料金も高騰している。

東京の宿泊料金は2011年に約1万2000円。

それが昨年2015年には約1万7000円。

この４年間で５千円も値上がりしている。

大阪でも約8500円（2011年）から1万2000円（2015年）と４千円近くの値上がりだ。

増加する空き家問題

深刻な北海道の空き家事情。

番組で紹介された売り家は、長年の豪雪でゆがんでいる。

スタッフがマジックペンを下に置くと、コロコロ転がり出す。

物件を管理している北海道スタイル・リアルエステートの石井秀幸社長によると、「日本人なら買わないです」。

「放っておくと、倒壊のおそれがある家なんです」。

「手をかけて管理することで、20～30年は持ちます」。

中国人に売るのは主に高齢者が住んでいた空き家である。

雪の多い北海道では、他の地域より空き家問題がより深刻だ。

北海道・室蘭市では、今年の8月3日、道内で初の空き家の行政代執行が行われた。

室蘭市都市政策課の末尾正主幹は、「被害の拡大や人命にもかかわるおそれがあると判断されたために、やむを得ずおこなった処置であります」。

解体費はおよそ800万円。

空き家の所有者に請求するという。

地元の杉山不動産サービス杉山健社長は、「税金だけがかかってくる。解体費もかかる。どうにもにっちもさっちもいかないから、タダでもいいので（空き家を引き取って欲しい）」と。

このような背景を念頭に置きながら、番組で取り上げられた３つのケースを見てみよう。

①ラブホテルからシティホテルへの業態転換で成功した例（埼玉県「ホテルWILL 浦和」）

埼玉県さいたま市緑区の「ホテルWILL 浦和」。

東北自動車道浦和ICからほど近い、郊外型展開の典型的なラブホテルだった。

しかし、売り上げが低迷。

この６月にラブホテルから業態転換した。

「ホテルWILL 浦和」の４月上旬のホームページには、こう記されている。

東北自動車道浦和ICから5分、埼玉スタジアムが近くに望める立地の青い看板のホテル「Will浦和」。
本館と別館の二棟からなる大きな建物には、全42室に加え露天風呂や岩盤浴などが設置され、共に無料で利用できた。
近年売上が低下し、ワンルーム10万円台となり、別館は週末しか開けない状況となっていた。
成田空港からは約1時間30分、羽田空港からは1時間の距離。

中国の旅行会社と提携、インバウンドの客を迎えることとなった。
部屋数も現状の42部屋から大きい部屋を２つにし、57部屋（運転手・ガイド用シングル含む）にする。
朝食付きで最大100名収容できるようにする計画。

全改装が終了するのは2016年5日末の予定で、6月1日よりグランドオープンとなる。

大型バスで１００人を超える中国人観光客が到着した「ホテルWILL 浦和」。

ラブホ時代には、赤と黒を基調とした大人な雰囲気の部屋だった。

それが今は、白を基調とした清潔感あふれる部屋に大変身した。

改装費用は、約1億5千万円。

朝食のサービスも付いて１人１泊5000円と格安だ。

「ホテルWILL 浦和」総合プロデューサーである、グランクール社長の吉田健氏はこう語る。

「旧ラブホテル時代では収益はほぼゼロに等しかった」。

「このインバウンド化を図ることによって、1000万円を大きく上回る売り上げになりました」。

インバウンド集客が加速するラブホテル業界～リオオリンピックで実証済み～

少子化や草食男子などで、ラブホテルは危機状態。

新宿・歌舞伎町で７店舗のホテルを展開するJHTグループ。

同社は、そのなかの１店舗「HOTEL J-MEX」（地上5階建・31室）において、今年３月からインバウンド集客を開始している。

かつて、浅草や南千住周辺の簡易宿泊所が業態転換し、インバウンド集客に成功した。

同じように、ラブホテル業界においてもインバウンド集客が加速するのは間違いないだろう。

それは、今回のリオオリンピックにおいても、ラブホテルが活用されたことからも実証済みである。

②空き家を中国人が爆買いし、民泊ビジネスを展開している例（北海道小樽市）

１人の中国人女性が向かった先は、札幌市内のリサイクルショップ。

バーベキューコンロをいきなりお買い上げ。

40インチの液晶テレビ、

電子レンジ、

巨大な飾り棚、

漆塗りの和室用テーブル、

40万もするイタリア製ダイニングセット、

和風のオブジェ・・・・

次々と買い上げ、総額70万円となった。

実はこの女性、先週もこの店を訪れていた。

ベッド６～７台、

冷蔵庫４台、

ダイニングセットを３つ、

ソファー３～４本、

４トントラック計３台分だ。

リサイクルショップの店員は「非常にありがたいです」とご満悦の表情だ。

トラックが向かった先は、隣町の小樽市だ。

築40年の一軒家。

１階に４部屋。

２階は２部屋。

この家の使用目的は民泊だ。

個人が所有する物件を旅行者に貸し出す民泊。

この中国人女性は５軒の一軒家を所有する。

「北海道は本当に自然、空気、食べ物となんでも素晴らしい。こうした環境は北京にはありません。だから中国人は北海道が大好き。これからもどんどん北海道に中国人は来ます。だから私は、ここ小樽に民泊用の物件を買ったんです」。

実働率は９割、利益は月20～30万円

民泊の管理を手伝う不動産会社「北海道スタイル・リアルエステート」の石井秀幸社長はこう語る。

「（８月の）実働率は９割ですね」

「ひと月の利益は20～30万円ですね」

中古の一軒家を爆買いする中国人～空き家対策と地元の活性化～

中古の一軒家を爆買いする中国人が後を絶たないという。

車で10分走っただけでも、中国人オーナーの物件が幾つもある。

築40年以上で、300万円で購入できる。

中国人を惹き付けるのは北海道の環境だ。

「景色が良い。北京は月に晴天を見れるのは二日もないと言われている中で、きれいな青空と海が見える最高の環境なんですよ」（北海道スタイル・リアルエステート社長）

中国人による中古住宅購入は、朽ち果てていく空き家問題の一つの解決策になっているのかも知れない。

「倒壊しそうな家をお金をかけて、地元の建築屋さんに頼んでリノベーションして、自分たちみたいな会社が管理する。全部地元にお金が落ちていくんですよ」（北海道スタイル・リアルエステート社長）

だが、「中国人に対して、地元の民生委員の人たちがうるさい」と言うように、中国人オーナーの急増をよく思わない人たちも少なくない。

また、10年後、20年後に、中国人オーナーが物件をどう管理しているか不安も残る。

その場合、空き家問題の解決（連絡体制など）が現在より複雑化するだろう。

もっとも、10年後、20年後の日本の空き家問題は、それどころの騒ぎではないだろうが・・・。

都営住宅でも増える「隠れ民泊」

「厳しいルールを課したとしても、この世界は常にヤミ民泊のような裏でルールを度外視した民泊をする人が必ず出てくる」

「家主の目が全く届いていない。他の居住者と大きなトラブルになる」（オラガ総研の牧野知弘社長）。

民泊問題の告発サイト「マンション選び研究所」を運営する武内修二代表は、とんでもない民泊を発見していた。

「まさかないだろうと思ってたところ、都営住宅の中で何件か民泊が行われている」。

都営住宅は低所得者が優先して入ることが出来る。

家賃補助を行っているため、安く住めるからだ。

つまり、安く借りて民泊で儲けている。

番組では住民に聞き込みをおこなった。

「私２回くらい見たことがある。エレベーターから降りてくる外国人を」（都営住宅の住民Ａ）

「リュック、バックパッカーの人を何人か見かけました」（都営住宅の住民Ｂ）

番組では、自治会長さんに借主について尋ねた。

「ごく普通のご夫婦です。夫婦って形で書類はきてます」（自治会長）

会長さんとともに、問題の一室へと向かう。

廊下に面した部屋の窓が開いている。

「夫婦は住んでないですね。これだったらホテルかなんかのイメージですね」と自治会長さん。

会長さんが目にしたものは、ベッドの上に乗っている浴衣とタオル。

まるでホテルの備品だ。

さらに調査を続けると、この部屋から出入りする外国人観光客から話を聞くことができた。

デンマーク人カップルだ。

ネットの民泊仲介サイトを利用し、この建物に宿泊したという。

番組では、借主の連絡先を入手。

民泊行為について問いただした。

すると「民泊は行っていない。自分で住んでいる」と民泊行為を完全否定した。

だが、電話の直後、都営住宅の一室から折り畳みベッドを運び出す男性が出てきた。

その男性に直撃取材を試みた。

「あの布団は何ですか？」

「月曜日からデンマーク人に部屋を貸しましたよね？」

だが、男性は終始無言のまま立ち去った。

翌日、自治会を通じ、事実関係を都に報告。

担当部署は、

「もし問題が見つかれば適切に指導する。問題があっても個人情報なので公表はできない」との回答。

民泊は観光立国を目指す日本の救世主なのか？・・・・

番組出演者の反応は？～「民泊すると、実際の日本人の暮らしも見れるから良い」～

①「うちのいとこが泊まりに来たんですけど、面倒くさいから外で泊まらせたんですよ。民泊したんですけど、いい思い出になったって言ってました。安くて、実際の日本人の暮らしも見れるから良かったって」（タレントのパックン）

②「日本は民泊とかUber（ウーバー）とかシェアリングビジネスに対する規制が多くて、欧米に比べて遅れてるんですね。安倍政権はそれを進めたいと言ってるんですが、日本人は民泊を受け入れないと思います。なぜかって言うと、さっきの都営住宅のように、福祉を食い物にした悪い奴らがいるわけですよね。それを行政がほったらかしにしている。それを国民は分かってるんです。悪いことをしてる奴らがいても、行政は動いてくれないんだろと。日本人はマジメなんで、いくら安倍政権がやるやると言っても、ちゃんと行政が悪い人たちを摘発しない限り、民泊は受け入れられないんじゃないでしょうか」（フジテレビ上席解説委員・平井文夫氏）

③「規制と改革のバランスを取りながらやっていく必要があると思うんですが、東京オリンピック、パラリンピックに向けて、外国人の皆さんの受け入れ体制をきちんとしておかなければいけない。一方で、あまり規制緩和をすると、安全性の問題とかが問題になると。ヤミ民泊が横行してもいけない。ですから、きちんとした法律を整備しなきゃいけない。国会の責務だと思います」（自民党衆議院議員・若狭勝）

④「（都営住宅での「隠れ民泊」のような）ずうずうしいことを考える奴はいるんだよね」（築地魚河岸「鈴与」三代目店主・生田與克）

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